2015年09月21日

休暇のお知らせ

旅行のため休暇に入ります。
再開は10月6日。
内政外交で大きな動きが生じれば書きます。
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意外性の重視

砂日傘北斎の波かぶりたり   東京俳壇2席

新聞俳壇への投句は選者によって採用の基準が違うから、
すみ分ける必要があるが、
これは投句者が自然と身につけるしかない。

筆者も10年投句やってもまだ、
どの選者がどのような俳句を志向しているかは完全掌握できない。
しかし総じて言えば、
毎週5千句の中から選句するのであるから、
どこかで見たような俳句は絶対に採られないし、
いわゆる月並俳句では駄目だ。

選句は1句1秒とかからない。
文字を読むのではなく選者の感性で絵のように感じ取って採るといわれる。
いちいち読んでいたら、とても時間が足りない。

従って他の句にはない「意外性」を重視しなければならない。
掲句もただの高波ではなく「北斎の波」と形容して採用されたと思う。

同様に

蝸牛(かたつむり)雨の箱根の関守る   毎日俳談1席

も意外性であろう。

遠足やパンパカパーンと弁当開け   読売俳壇1席

も長いオノマトベを短詩の中で広く場所を占拠させる意外性で成功した。
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2015年09月18日

曼珠沙華の存在感

鎌倉の沖より見ゆる曼珠沙華(まんじゅしゃげ)  毎日俳談1席

鎌倉で船遊びをしたら遠くに赤い花が咲いている。
船頭に聞いたら曼珠沙華だというので、
その場で作った。

曼珠沙華は秋の季語。
別名が彼岸花、死人花、幽霊花、捨子花など総じて不吉だが、
存在感がある。

日本の歌曲に北原白秋作詞、山田耕筰作曲
「曼珠沙華(ひがんばな)」がある。
鮫島有美子の歌で聞くとまさに鬼気迫る。

Gonshan,Gonshan 何処へゆく
赤い お墓の曼珠沙華(ひがんばな) 曼珠沙華
けふも手折りに来たわいな
Gonshan,Gonshan 何本か
地には七本 血のやうに 血のやうに
丁度 あの児の年の数(かず)

「ゴンシャン」とは柳川の方言で「良家のお嬢さん」のこと。
歌の意味は様々な説があるが、
良家の娘が人知れず妊娠し、堕胎して発狂。
7年経ってもまださまよっているという説がピタリのような気がする。

暗い感じの季語だが、
これを夏目漱石に作らせると

曼珠沙華あつけらかんと道の端 
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2015年09月17日

薄命の象徴蜉蝣(かげろう)

蜉蝣の軒まで揚がり力尽く  杉の子

庭で蜉蝣を見つけた。
マクロレンズですぐに撮影した。
秋の季語である蜉蝣はとんぼより遙かに小さく2センチ程度。
よく目を見張らないと見えない。
止まっている姿を発見するのは至難の技である。

星野立子が

かげろうの歩けば見ゆる細き髭

と詠んだとおりである。
動かなければ秋草に融け込んでしまう。
2〜3年は水中で暮らして、
羽化した後の命は数時間というはかなさだ。

古来和歌にも詠まれ源氏物語にも薫が宇治の三姉妹との因縁を想い詠んだ和歌

ありと見て手にはとられず見ればまたゆくへもしらず消えしかげろふ

がある。
同じカゲロウでもでもウスバカゲロウは、
あの恐ろしげな蟻地獄の羽化したもの。
見にくい一生を、最後に、
はかなくも美しいものに変えるのは天の配剤だろうか。

蟻地獄悟りしごとくかげろうに  杉の子
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2015年09月16日

狐火の遺伝子

狐火や耳成(みみなし)山のその闇に  産経俳壇入選

昔大阪支社勤務のころ、
大和三山の耳成山近辺をサイクリングしたことがあったが、
日がとっぷり暮れると古代の神話に引き込まれるような気持ちがしたものだ。
国の名勝に指摘されており、
景観が守られているから狐火が日本で一番出そうな雰囲気でもある。
 
狐火は山野で見られる正体不明の青白い火で冬の季語。
火の気のないところに、
提灯または松明のような怪火が一列になって現れるケースもある。

奥三河の母の実家で祖母から、
狐火に出会った話を聞いたことがあるが、
昭和の初期まではそのような話が日本中にあった。

科学的に解明できる発光現象であろうが、
列島が明るくなったころからなぜか姿を消した。
それでも狐火を詠む俳人は多い。
狐火ノスタルジアが遺伝子となって心奥に入り込んでいるからだろう。

蕪村が

狐火や髑髏(どくろ)に雨のたまる夜

と詠んだ昔は野ざらしの髑髏などざらにあった。
燐光を発するものもあったに違いない。

狐火や夜光時計は十一時   毎日俳壇1席

横溝正史著による長編推理小説「八墓村」のような雰囲気を詠んだ。
夜光時計と事件と狐火と、
三つがそろえば名探偵・金田一耕助の出番だ。
秋の夜長に推理小説と洒落込んではいかがかな。
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