2016年03月31日

子供の観察句

子供を観察することほど句材になるものはない。
子を観察して作れば新聞俳壇にはよく採ってもらえる。
観察と言ってもじろじろ見つめればいいというものでもない。
親としての感性で過去の記憶を切り取ることも大切だ。

子の腹に鉄棒の錆梅雨晴れ間   東京俳壇入選

長梅雨で鉄棒に錆びが生じた。
母親が「やれやれ」と嘆く。

下校の子八重撫子に触れてゆく   毎日俳壇入選

家の前の通学路で花に触れてゆく子を詠んだ。

優しき子使へば優し蠅叩   日経俳壇入選

優しい子はハエを叩くのも優しい。

落第の子にはきらきら星のあり    産経俳壇入選

落第しても上を向こう。
キラキラ星があるじゃないか。

白息を吐きてもの言ふ使の子   毎日俳壇1席

賭けてきて親からの言づてを息せきって話す子のかわいらしさ。

雛の夜の舌の長さを子の競ふ   東京俳壇入選

子供の遊びは奇想天外。

拝むこと覚えたる児の花祭り  東京俳壇入選

子は親の仕草を見て育つ。
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2016年03月30日

絵画からヒント

シャガールの宙浮く二人春一番   東京俳壇1席 

感動した絵画は模写をすると理解が深まると信じている。
だから古今東西の画家による感動した名画を模写している。

パソコンを駆使してワコムの大画面の電子カンバスに描く。
原画は大画面のテレビに映すから細部も分かる。

マルク・シャガールは、
20世紀のロシア(現ベラルーシ)出身のフランスの画家。
ユダヤ人で迫害を逃れ米国に亡命している。

男女が抱き合って空を飛ぶ絵は模写に1週間かかった。
左手で抱き抱えているのは愛する妻ベラ。
眼下に展開するのは恐らく古里ロシアの村であろう。
陰うつな空と風景が実にマッチして、
細部を模写するほど発見があって楽しい。
窓に架かるはしごなど、生活を実感させる。
空を飛ぶのはあらゆる制約からの解放なのであろう。
とりわけユダヤ人としての自らの解放であろう。

春は風の季節でもある。
立春の後初めて吹く強い風を春一番と いう。
<春一番競馬新聞空を行く>という俳句を詠んだ人もいるが、
やはり、春一番はシャガールを飛ばすのに限る。
同じ春の強風、
または突風に春疾風(はるはやて)がある。
これも好きな季語だ。
いつかまたシャガールを飛ばしたい。

春疾風一湾の帆の斜傾せり   杉の子
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2016年03月29日

作句のこつ

芭蕉は俳句上達の秘訣について「師を頼りとせず、
自らの力量を当てにしても仕方がない。
結局、句を多数作る人こそ上手になる」と述べている。
要するに多くを作句し、
常に前向きに思考する人が成功すると言うのだ。
 
これは多作多捨の作句方法であり、
芸事全てに通用する普遍の原理だ。
ゴルフでも格闘技でもダンスでも場数を多く踏むほど、
上達は早い。

多くの句を作って、それを捨てる。
これを繰り返すことによって、
風景や人間の事象を俳句にする回路が脳内に成立するのだ。

そうなれば写真を撮るように俳句ができるようになる。
筆者は毎朝10句作っている。
過去に作った句も発想のよいものは推敲してまた使う。
句会の前日になってやっと一句作るようでは、
いつまでたっても上達は望めない。

先生の顔見て逃げし軒燕   産経俳壇入選
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2016年03月25日

一茶のリフレイン

一茶はリフレインの名手である。
ただでさえ短い俳句の中で言葉を繰り返すのだから無駄のように見えるが、
当たるとリフレインほど訴求力のある俳句はなくなる。
一茶はかなりの確率で当てているのである。
まず人口に膾炙(かいしゃ)した句は

やれ打つな蝿が手をする足をする
雀の子そこのけそこのけお馬が通る


の二首であろう。
「する」を重ねることでハエの情景がクローズアップで見えてくる。
「そこのけ」の繰り返しは、
威張っている武士階級を茶化して見事だ。

一つ蚊のだまってしくりしくりかな

もちろん蚊は刺しますと言って刺さない。
黙って刺すが、
しくりしくりであちこち刺された様子が浮かぶ。

千の蟻一匹頭痛の蟻がいる   東京俳壇入選

庭で蟻を見ていて直感であの蟻は頭痛に違いないと思った。

鳧(けり)の子のけりつと鳴ける日暮かな   東京俳壇入選

本当に鳧は「けりっ」と鳴くのだ。
だから鳧という名が付いたに違いない。

ときめきてすぐあきらめて石鹼玉  読売俳壇1席

日の落ちてとっぷり暮れて十三夜  産経俳壇入選

リフレインではないが「て」という助詞を二度利かせることによって
リフレイン効果とリズム感を出した。
これも一種のリフレインだろう。
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2016年03月24日

老犬

老犬の盲(め)しひゆくらし冬の山  産経俳壇入選

どうも飼っているホワイトテリアが目が見えなくなったり、
耳が遠くなったりしているらしい。
大声で怒鳴るように呼ばないと顔を上げない。
しかし、めしをやる食器の音だけは聞き逃さない。
ことりと音を立てただけですぐに起きてくる。
食い意地だけは張っている。
掲句は季語の冬の山と目が見えなくなりつつある老犬を響かせたものだが、
一般の人には何で冬の山か分からないだろう。
それはこのエッセイを読んでいる内に分かるようになる。
俳句の要諦だ。
 
食事も亭主は粗食なのに、犬は牛刺しだ。
牛刺しをやるようになってから、
犬は胆石の痛みも起きなくなったようだ。
ドッグフードがいかに駄目かの証明となった。
犬の牛刺しを食べたくなって、
こっそり冷蔵庫を開けてつまむと、結構いける。
ビールのつまみにいい。
犬の食事を盗み食いするようになってはおしまいだが、
今度女房の留守に肴にして一杯やるとしよう。
犬めにはアジの頭しかやらない。

初嵐犬吠えカラス横っ飛び  東京俳壇入選
posted by 蕪村顕彰俳句大学 at 00:00| Comment(0) | 俳壇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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