2016年04月28日

筆者より

明日から連休に入ります。
再開は5月10日。
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今日森で「初燕」を見た。
池に触れては舞上がる行為を繰り返していた。
飛びながら水を飲んだり水浴びをする。

冬の間暖かい東南アジアの島々やオーストラリア北部で過ごしたツバメは、
春になると生まれ故郷の日本に帰ってくる。
海面すれすれを何千キロも集団でなく1羽で渡るという。

しかしカワセミは予測が可能だから飛んでいるところを撮影できるが、
燕の飛翔の撮影ほど難しいものは無い。
予測不能でしかもスピードは時速五十キロだ。
いまだによいものは撮れていない。

燕の代表句は何と言っても細見綾子の

つばめつばめ泥が好きなる燕かな

であろう。
巣作りのための「泥が好き」と言い切ったところに、
意表を突く巧みさがある。

近所の帽子店にも毎年燕が巣を作る。

燕来る翁が守る帽子店   毎日俳壇一席

選者は「こんな帽子店に行ってみたい」と評価した。

昔、悪いことをしているわけではないが、
先生が遠くに姿を現すと
「あっ、先公だ逃げろ」と一斉に逃げ出したものだ。

先生の顔見て逃げし軒燕   産経俳壇入選

とにかく燕は清々しい。

初燕空のカーテン開けにけり    杉の子
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2016年04月27日

翡翠を詠む

翡翠の写真にのめり込んで三十年。
撮った写真は二万枚余りとなった。
翡翠の生態で撮らないものは無い。

最近ではカメラを持たずに池に行っても、
「カシャッ」と言えば網膜に
クローズアップで姿が残る域にまで到達した。
翡翠名人の域だ。

なぜ惹(ひ)かれるかといえば、
仕事が厳しいからである。
現役時代の記者稼業の厳しさ、
ストレスの大きさは並大抵ではない。
何とか持ち堪えたのは翡翠撮影があったからだ。
翡翠撮影は魚釣りと全く同じで、
“待ち”にある。
待つ間は、まだかまだかとひたすら思っている。
その異次元の目的意識が仕事のストレスを減殺するのだ。
 
いまも自らに四千字の原稿を課して毎日書いているから、
翡翠のご厄介になる。
そのカワセミ写真がNHKのフォト五七五で特選に選ばれた。
「俳句といい写真といい強く環境問題を訴えて秀逸」と
褒められたケースもある。

翡翠の一筆(ひとふで)書きや水の星 NHKフォト575特選

真珠湾での零戦の急降下を思って作ったのが

翡翠の急降下せり開戦日   東京俳壇入選

である。
そしてかわせみの名句と言えば

翡翠の影こんこんと溯(さかのぼ)り  川端茅舎

だろう。
夏の朝の澄んだ空気感を醸し出している。
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2016年04月26日

昔の恋人を詠む

「みよちゃん」「かよちゃん」「みこちゃん」はいずれも昔の恋人だ。
といっても幼稚園から小学校低学年にかけてだから、
女たらしではない。

それでもきれいな子をみるとすぐに目移りがした。
みこちゃんは帰り道でいたずら小僧にいじめられていたのを、
得意の往復びんたで助けてあげて、
「親公認の仲」となった。しかしすぐに引っ越しで永の別れとなった。
そんな昔を回顧しながら俳句を作るのも楽しい。

かよちやんのひもつき手袋まぶしかり   杉の子

みこちゃんと蛍狩に言った。
かわいいゆかたを着ていた。

みこちやんも捕つて袂(たもと)が蛍籠   杉の子

みんな60年以上前の思い出だ。
思い出を醸成発酵させて作ると次のような俳句となる。

鳩追ってみよちやん春をつかまえる   杉の子

我ながら発想がいい。
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2016年04月22日

清涼感

目には青葉山ほととぎす初鰹

は人口に膾炙(かいしゃ)したこの時期の俳句。
江戸中期の俳人・山口素堂の作。
季語だけでなく、句全体に清涼感がただよっている。

清涼感のある季語の筆頭と言えば
何と言ってもこの「初鰹」だろう。
江戸っ子は挨拶代わりに「鰹食ったかい」と言ったそうだが、
「初鰹は女房子供を質に置いてでも食え」は大げさだ。
質草になるような女房など簡単にはいない。
 
しかし江戸っ子が鰹を好きだったのは確かだ。
鎌倉あたりの漁場で捕れたものを大八車に積んで、
「あらよっ」と江戸まで運んだ。
だから芭蕉も次のような一句を残している。

鎌倉を生きて出けむ初鰹

この新鮮な鰹は鎌倉では生きていたに違いないというのだ。
初夏には清涼感のある俳句を詠みたい。

飛び魚の又も左舷となりしかな    毎日俳壇2席

昔釣り船に乗ったところ飛び魚の群れの中に入ったことがあった。
街中でも清涼感はある。
夏の季語「打水」だ。
料理屋の前に打水がしてあると、
ついつい入りたくなる。

打水の最初の客となりにけり   読売俳壇入選

「涼し」も夏の季語だ。
朝涼(あさすず)
夕涼(ゆうすず)
晩涼(ばんりょう)
夜涼(やりょう)
なども関連季語だ。

晩涼を抱くがごとく稚(やや)立ちぬ    産経俳壇入選
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