2016年08月31日

無題

黒揚羽雨のジルバを踊らうか   産経俳壇入選

ジルバは第二次世界大戦の終戦とともに
アメリカ駐留軍によって日本にもたらされた。
軽快でリズミックなこのダンスは
戦後の開放的な雰囲気の中で一般大衆に受け入れられ全国に広まった。
アランドロンに似た慶応ボーイの筆者は、
背が低いからダンスパーティーの壁の花であったが、
うまかったので時々踊ってもらえた。
黒揚羽は夏の季語だが、
イメージとしては濃厚な年増女を連想させる。
単にジルバだけでは単調だが
「雨のジルバ」とした途端に詩情と物語性が出た。
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2016年08月30日

無題

海を見て決まりし墓地や月見草   東京俳壇入選

友人にもらった月見草が咲いた。
早朝つぼみがふくれているので咲くなと直感して、
急いでカメラを用意すると数秒後開花を始めた。
わずか2分間で満開となった。
月見草といえば夢二に
有名な失恋の歌がある。

待てど暮らせど来ぬ人を 
宵待草のやるせなさ 
今宵は月も出ぬさうな


太宰治も『富嶽百景』で
「富士には月見草がよく似合ふ」と述べている。
花を詠むときは賛美してはならない。
既に読者が賛美しているからである。
他の事象や感情と2物衝撃的に対峙させると成功する。

月見草逢魔が時に咲きにけり 

翌日の朝は花が赤っぽくなり、
午後にはしぼんだ。
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2016年08月04日

第2次夏休み

筆者より=
明日から月末まで第2次夏休みに入ります。
ただ臨時送信もします。
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2016年08月03日

文字を詠む

「を」はをんな座れる姿蚊遣香  読売俳談入選

漢字やカタカナの「姿」をそのまま俳句に詠むことも出来る。
俳句は何でもありの世界なのだ。
江戸時代の女流俳人・田捨女が詠んだ句に

雪の朝二の字二の字の下駄のあと

がある。
昔の雪の日の情景がすぐに浮かんできて懐かしい。
今でも7月22日の「下駄の日」によく紹介される。
この俳句に接すると実に爽やかな気分になる。

雪の朝の情景がすぐに目に浮かんでくるのだ。
下駄の呼び名の成立は戦国時代と推測され、
下は地面を意味し、
駄は履物を意味する。
それ以前は「アシダ」と呼称された。

韓国には
「日本人には靴を教えてやらなかったから下駄を履いている」
という話があるが、
しつこい歴史認識と同じで、
東京都規模の小国の言うことに
いちいち目くじらを立てても仕方がない。
無視が一番。
 
新聞読者の爆笑を誘ったのが拙句の

湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん  読売俳壇一席

漢字もひらがなも観察すれば俳句になる。
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2016年08月02日

歴史を詠む

蝸牛(かたつむり)駆け込み寺を守るなり   毎日俳談2席
 
鎌倉東慶寺の山門に蝸牛がいた。
東慶寺はかつては女人救済の縁切り寺であった。
江戸時代、
離婚請求権は夫の側にしか認められていなかったが、
夫と縁を切りたい女性は、
当寺で3年の間修行をすれば離婚が認められたという。
「縁切寺法」という制度があったのだ。
江戸からひっきりなしに女性が東慶寺を目指したという。

その歴史を知ってか知らずか、
蝸牛は寺を守るようにじっとしていた。
今の駆け込み寺は明るい。
アベックで一杯だ。

山笑ふ縁切り寺で手をつなぎ   杉の子
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