2016年09月30日

修正の上採用

亡き母は端裂(はぎれ)が好き秋の風   日経入選
 
筆者の新聞投句は10数年続いている。
入選確率は20分の1から30分の1だ。
それでも年間百句は確保している。

長く投句していると選者も哀れに思うのか、
時々修正してくれる。

掲句は投句した原句は<亡き母は切れ端が好き秋の声>だった。
確かに「切れ端」では木っ端なのか布ぎれなのか分かりにくい。
端裂と直して採用してもらえた。
<飛び魚の右舷とみれば左舷かな>と毎日俳壇に送った。
これが

飛び魚の又も左舷となりしかな

と直したうえで採用してくれた。
通常選者は1字間違っても採用しないものだが、
テーマ重視で修正の上採用してくれる温かい選者もいる。
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2016年09月29日

俳談

ちやきちやきの鬼灯市の啖呵かな   杉の子

浅草の浅草寺の四万六千日、
別名鬼灯(ほおずき)市は盛夏の行事だ。
境内に市が立つ。子供の虫封じ、
女の癪(しやく)に効くとして鉢植えの鬼灯を売る。
十日の観世音菩薩の結縁日に参詣すると、
四万六千日分に相当する功徳を授かるといわれる。
江戸っ子の看板娘たちが妍を競って売っているのに気をとられて、
観音様を拝んでくるのを忘れた。
からかうと瞬時に言葉が返ってくる。
小気味よいちゃきちゃきの江戸っ子娘だ。
筆者は通常その場では俳句は作らないが、
今回はすぐ出来た。

花街の昼は鬼灯鳴らすかな   杉の子

もう死語になったが
遊郭の吉原や玉の井は「居続け」といって、
1週間や10日も遊び続けてかえらぬ客がいたという。
残念ながら物心ついたころには赤線は廃止されていた。
掲句は居続けの永井荷風であったら
こんな句を作ったであろうとして想像して作った。
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2016年09月28日

図々しい野郎

草虱明眸なれば手を貸せず   産経俳壇1席

明眸(めいぼう)とは、
澄みきって美しいひとみ。
美人の形容に使う。
草虱(くさじらみ)はセリ科の二年草で、
山野を歩くと衣服に点々と小さな草の実がくっつく、
あれだ。
なかなかとれない。
泥棒草の類いで秋の季語だ。
美人がスカートなどにつけていると図々しい野郎は、
しめたとばかり手を貸す。
女は馬鹿だからこういう男にはすぐに引っかかる。
小生のようにシャイで誠実でアランドロンのような男は
かえってもてない。
したがって 

秋の夜の酔へば自在な恋の文    杉の子

と一人酌むのである。
シャイなのだ。
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2016年09月27日

着眼点

指先に宿る矜持や風の盆    毎日俳談入選

おわら風の盆は、
富山市八尾町で毎年9月に行なわれている祭りである。

越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、
坂が多い町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露する。
哀調のある音色を奏でる胡弓の調べが来訪者を魅了する。

女性は鳥追笠を深く被って踊るから、
顔はほとんど見えない。
見えないが美人ではないかと思わせる。
勢い手の動作に視線がいくが、
指を反らして凛とした矜持を感じさせる。
その優雅さにおいては日本一であろう。

鳥追い笠は昔、農村行事で、
田畑に害を与える鳥獣を追い払うため、若者達が歌を歌い、
鳥獣を脅すように農機具などを打ち鳴らして家々を廻り歩いた。
その時にに被ったので鳥追い笠と呼ばれる。
掲句は視線を迷わずに指先に当てたことが良かった。
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2016年09月15日

頭脳の引き出しからひねり出す

何処より旅せる虫やフェリーの夜   産経俳壇1席
 
昔学生時代に、
室蘭発の直江津航路に乗ったら、
満天の星。
ベンチに座ると何とコオロギが鳴いていた。
どこからこの大きなフェリーに乗り込んだのだろうか。
何とも言えない寂寞感で胸が一杯になった。
半世紀後にその寂寞感がわき起こり、
一句となった。

年を重ねると言うことは得である。
現場を見ずとも、
分かる事が多い。
経験が積み重なって頭脳の引き出しを形作っているのだ。
訓練すればパソコンの検索と同じで
言葉の一つ二つのヒントで目的の感情を引き出せる。
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